RPAツールでシナリオ作成が進まない時に考える3つのこと
RPA(Robotic Process Automation)とは、PCで行う入力業務やExcel業務など、さまざまな事務作業を自動化することができるソフトウェアです。近年、事業会社に限らず総合病院などの医療機関や大学をはじめとする教育機関でのRPA導入が増えています。その要因のひとつにプログラミング知識が不要であるノーコードツールが増えたことがあります。
しかし、いくらプログラミング知識が不要であっても、シナリオ作成に苦戦する方は少なくありません。本コラムはシナリオ作成に苦戦したときに考えてほしいポイントをお伝えします。
シナリオ作成の順番
RPAを導入し業務をどんどん自動化して、業務効率を一刻も早く改善したいと意気込む方も多いでしょう。しかし、自動化する業務を選定しシナリオを作り始めたのは良いものの、途中で手が止まってしまうことは少なくないのではないでしょうか。
100%すべてをRPAに任せたい気持ちを抑え、まずは前半の30%をRPAに任せてみよう、上手くいったら次は50%、80%、とシナリオを少しずつ作ることで心理的負担を減らすことが期待できます。また、業務の最初のプロセスから作る必要もありません。作りやすいところから作ると気楽に考え、業務プロセスを改めて見返してみると繋がって見える業務もパーツに分けることができます。そして、そのなかでもシンプルな業務を見つけましょう。
人の負担になっている業務はルーチンワークでありながらも細かい手順が多く、非常に時間がかかるものです。そんな業務をRPAに慣れないうちから自動化しようとしても上手くいきません。これからRPAに挑戦する方やはじめて間もない方は以下の3つの条件に当てはまる業務から自動化に挑戦することをおすすめします。
・手順をよく理解しているやり慣れた業務から選ぶ
・細分化した業務プロセスの一部分を自動化する
・条件分岐が複雑なものは避ける
※Aの場合は1、Bの場合2など条件によって手順が変わるもの
初めてのシナリオ作成はとにかく単純で簡単な毎日(毎週・毎月)の業務を自動化し成功体験を得ることが重要です。
業務プロセスを見直す
人とロボットでは難しいと感じるポイントが異なる場合があります。人が気にも留めないようなプロセスがロボットにとっては再現性が低く、シナリオ作成時に頭を抱えてしまうことがあるのです。そんな時は業務プロセスをロボットにあわせて変更することを検討してみてはいかがでしょうか。
なぜロボットのために?と思われる方もいらっしゃると思います。しかし、ファイルの保存方法やネーミングルールの付け方など些細なことがネックとなるケースも少なくないため、人が少しロボットに歩み寄ることで、これまで自動化が難しかった業務の自動化が実現することが多々あります。
シナリオがどうしても作れない、難しいと感じた時は、シナリオの作り方を考えることを一度お休みして、業務プロセスの中で他のやり方が無いか検討してみると良いでしょう。
サポートの活用
RPAメーカーや販売店のベンダーにはサポート窓口があるはずです。困ったときはサポートに頼ってください。
サポートに問合せすることが苦手と感じる方は、問合せする際に伝わりやすくなるポイントを押さえましょう。
1.困っていること、できなかったことを伝える
2.利用シーンや背景を伝える
3.シナリオファイルを送る
4.ログを送る
「〇〇〇ができません。方法を教えてください。」とだけ送るよりも、何で困っていてどんなシーンで利用しているか、そうなった背景などがわかるとサポート担当もお客様の状況を想像しやすくなります。そうすることで、より具体的で明確な回答や要望に沿ったサンプルシナリオを用意することでき、お客様は高い品質のサポートを受けることができます。
うまく言葉にできない場合は、オンライン会議ツールを使用したサポートを依頼すると良いでしょう。使用しているシステムやExcelの操作手順を確認してもらい、自動化の可否の判断や設定方法を、操作しているPCの画面を共有しながらやり取りすることでスムーズな問題解決に繋がります。
メーカーやベンダーによってサポート内容が異なりますので、ご利用されているRPAのメーカーサポートやベンダーサポートの内容を確認し最大限活用しましょう。
まとめ
本コラムではシナリオ作成に苦戦する方に向けて、シナリオ作成時に考えてほしいポイントをお伝えしました。RPA導入の成功の鍵は、人とロボットの歩み寄りとサポートの活用です。シナリオ作成が難しいと感じたとき、本コラムを思い出していただけると幸いです。
もし、お伝えしたシナリオ作成の順番や業務プロセスを見直し、サポートに相談しても上手くいきそうにない場合は、利用しているRPAツールとあまり相性が良くない可能性があります。もしくはプログラミング知識を前提とするRPAツールなのかもしれません。
そんな時は、別のRPAツールへの移行もひとつの手です。メーカーやベンダーにシナリオの移行なども含めて相談してみてはいかがでしょうか。
https://www.ezavater.com/20240904_rebuild/contact/
ペンネーム あゆみさん
仙台市出身
ITソリューションを提供するマルチベンダーで営業・マーケティングを経験し、2019年にテリロジーへジョイン。
現在はRPAツールのマーケティングを中心に活動中。
趣味は温泉旅行だが、若干潔癖症のため大浴場は苦手。