初年度からEzAvaterの活用が進んだ下呂市が行ったこととは?
導入したRPAツールを活用するために必要なこと
下呂市 まちづくり推進部デジタル課 主査 長尾 飛鳥様(写真中央)
下呂市 福祉部こども家庭課 主任 加藤 愛美様(写真右)
下呂市 総務部税務課市民税係 主任 井田 円様(写真左)
下呂市は、平成16年、旧益田群の5町村が合併して誕生しました。豊富な温泉と豊かな自然に恵まれています。
今回は、デジタル課としてRPAの活用推進を行っている長尾様と、EzAvaterを、実際に業務で利用されている加藤様、井田様に、RPA推進のコツをお聞きしました。なかなか活用促進が進まないとお悩みの方はぜひお読みいただきたい内容です。
“マインドセットとツール導入を同時に進めることが重要”
RPAツールを導入しても利用促進が難しいという声をよく聞きます。
その中で、御庁では、なぜRPAツールの活用が進んでいるのか、ヒントをお聞きできますか?
長尾様 : RPAツールの導入と合わせて「なぜ利用するのか」という部分をしっかり説明しました。ツールを導入する目標は、「職場変革」です。職員は、地域に出る活動ができると考えて入職しているのに、デスクワークが中心で、自分でなくてもできる仕事だと感じてしまうという声がありました。その点を改善したいと考えていました。RPAツールを使えば人員を削減できると認識されがちですが、ツールの導入はそれが目的ではないというところもしっかり伝えました。
ツールを広めるだけでなく、マインドも変えられたのですね。
長尾様 : 自治体はニーズが多様化し、業務も増えています。一方で、少子化などによる職員の減少で、今後人的リソースが確実に不足していきます。その均衡を保つには人だけでは限界があるので、AIやRPAといったデジタル技術が必要だと理解してもらうことが重要です。このようなマインドセットとRPAツールの導入を同時に進めることが必要だと考えています。
RPAの利用を推進する中で、難しい点があれば教えてください。
井田様 : 担当課の上司や周りの職員の理解を得ることだと思います。もし理解がないと、RPAを使って、業務自動化のシナリオを作成しているときに、周囲の職員から何をやっているのか疑問に思われていると感じ、進めづらいのではないかと思います。
確かに周りの方の理解は必要ですね! 他にもポイントはありますか?
長尾様 : 初めてRPAを使う職員には、RPAの説明から始めるのではなく、実際にRPAが動いている様子を動画で見てもらうのが一番効果的だと思っています。
加藤様 : 私自身もRPAの操作を体験して、「自分でもできるんだ」と実感するところから始めました。他の課の職員も、RPAが業務を自動で行っている画面を見て興味を持ち、やり方を教えてほしいと言ってくれました。
実際に動いているところを見ることで、自分でもできると思ってもらうことがポイントですね。
加藤様 : 業務のやり方を知っている「担当者だからこそ利用イメージが浮かぶ部分があると思うので、RPAを使って何ができるかを知ると、RPAの活用が発展していくと思いました。
他の職員からEzAvaterに興味を持ってもらうために取り組まれたことはありますか?
長尾様 : 「 アバちゃん」というマスコットキャラクターを作りました。最初はRPAと言って理解してもらえないと思ったので、「アバちゃん」として浸透させたいと考えたのがきっかけです。アバちゃんのシールも作りました!
加藤様 :RPAと言われると難しそうと思う方は多いと思います。「アバちゃん」は他の職員にとっても親しみやすいという声をもらいました。
キャラクターを作るという発想は面白いですね!
これからRPAを導入する方へアドバイスはありますか?
長尾様 : スモールスタートが良いということです。推進側としては、組織内の共有が必要だと思っています。 1つ実績を作れば、組織内に発信することができます。様々な事例を見ることで、「やってみよう」という気持ちになると思うので、定期的に情報をシェアしていくことが重要だと思います。
井田様 : 業務を知っているのは現場です。 実際に業務を行う職員が、「これは面白いぞ」と思えば、利用が促進されやすいと思います。
“EzAvaterの操作が簡単だからこそ、シナリオを量産し、さらなる業務改善を検討できる”
最初にRPAとお聞きになった時に、どのように感じましたか?
加藤様 : 横文字が苦手なので、難しい話がやってきたなと(笑)でも、ハンズオンセミナーの時に、左クリックが勝手に動くという操作を自分で作れた時は感動しました。いつも行っている業務が簡単な操作だけで自動化されていくのを目の当たりにして、これであれば 自分でもRPAを活用していけると感じました。
ハンズオンセミナーの時から使えるイメージを持っていただけたのですね!
EzAvaterの導入を決めたポイントを教えて下さい。
長尾様 : トライアルの参加者が、実業務でいきなりシナリオをどんどん作成していったので、「これだ!」と思いました。というのが、最大の評価ポイントでした。 サポートが充実していたところも良かったです。
操作が簡単なことが最大のポイントですね!
最初のシナリオは、どのような点を重視して取り掛かりましたか?
加藤様 : 5分もかからない作業ですが、月に何回も同じことを繰り返すような作業から始めました。自分の中で 手間がかかると思う作業から自動化していきました。その次に、同じ動作で何百回も繰り返し入力するような業務の自動化に移行していきました。最初は、どれくらい業務時間がかかる作業かはあまり重視しませんでした。
井田様 : 納税義務者に市税や料金の滞納があるかどうかのチェック作業や、住民税の税額や徴収方法などの変更があった時に送付する通知書を印刷する業務の自動化から始めました。 トライアルで5~6個のシナリオ頻度と作業ボリュームの両方を意識して取り掛かりました。
シナリオを実際に作ってみた感想を教えてください。
井田様 : RPAに業務を任せるというよりは、タッグを組むという感じでした。1つの業務の中でも、細分化して「ここはRPAに任せると効率が良い」という風に考えました。シナリオが作りやすかったので、ちょっとした業務でもシナリオ化できると感じました。
操作が簡単だからこそ、様々な業務を改善できると感じていただいたのですね!
操作が簡単なことで、他にどのようなメリットがありましたか?
井田様 : 下呂市の人口規模は3万人弱なので、市としては小規模です。作業の絶対量が少ないので、1つの業務では大幅な業務時間の短縮を見込めないことも多いです。しかし、EzAvaterは操作が簡単なので、シナリオを量産でき、その積み重ねで業務時間を大幅に短縮できています。
長尾様 : 前任者が使っていたシナリオを無理に使わないというのも1つの選択肢なのかなと考えています。後任がさらに改善できるようであれば、同じシナリオを使い続ける必要はありません。このような運用を考えられるのも、EzAvaterでシナリオを簡単に作成できるからこそです。
加藤様 : ミスが減ると実感しました。作業そのものをRPAに任せられるので、確認に時間をかけられるようになりました。ロボットと私でダブルチェックする感覚です。
「タッグを組む」とか「ダブルチェック」とか、本当にアバちゃんに親しみを持って接されているようですね!
加藤様 : そうですね。私自身アバちゃんにはかなり親しみを持っていると思います(笑)私はアバちゃんのことを聞かれるときにも、「言われたことをそのまま受け止めてやってくれる職員さん」と説明しています。
嬉しいですね!
シナリオを作るハードルが高く感じる方も多いと思うのですが、シナリオの作成を促進するために効果があった取り組みはありましたか?
井田様:トライアル前後のタイミングだったと思いますが、EzAvaterを導入している同じ県内の市役所さんにお伺いして、シナリオの動作を見せてもらい、そのシナリオデータを提供していただきました。トライアルの時も、「○○市役所さんのシナリオはこうなっているんだ」と参考にさせてもらいながら作ったシナリオも多かったので、かなり助かりました。地方税法に則った業務が多いので、業務の内容も似たものが多いんです。「そのまま使えそうだな」というシナリオもありました。
運用されている中で、EzAvater が特に有効だった場面はありますか?
井田様 : 極端に忙しい時期があったり、年に1度だけど大量に作業しなければいけない業務があります。そのような業務に使うことで、作業時間を削減できています。毎月処理したいけれど滞りがちな業務を、定期的にRPAを使って作業できるようになり、手が回る業務も増えました。
加藤様 : 業務時間外にも動かすことができるので、業務完了までのスピード感が上がったと感じました。手作業で、2週間ぐらいかかるところを、深夜も夜通し作業できるので、1週間以内に通知ができるようになりました。
シナリオを作られている方は何名いらっしゃいますか?
長尾様 : 12名です。本日、研修していただいているので、さらに増えることを期待しています。
活用が広がっている様子が伝わります! ぜひ研修も有効にご活用ください。
“現状の業務改善や新しい業務フロー構築の選択肢にEzAvaterの活用が検討されるようになった”
導入されてから現場はどのように変わりましたか?
長尾様 :業務改善や新しいことに取り組むとき、明らかにRPAが選択肢になったなと感じています。
加藤様 :新規事業では特にそうですが、これからどのように進めていこうかと検討している時に、「EzAvaterを活用できないか」と考えるようになりました。
業務のやり方として、EzAvaterを意識していただいているということですね。
長尾様 :何でも今まで通り行うのではなく、一旦「本当にこのやり方が良いのか。今やっている業務をここだけ自動化しよう」といったように、そもそもの業務のやり方を考える方が増えたと感じています。
現在の業務改善だけではなく、もっと良いやり方がないか模索されているということですね!
今後EzAvaterを使って行いたいことはありますか?
加藤様 : データ管理のクラウド化に伴って、今まで紙で申請してきたものが、データとして扱えるようになるので、システム登録で活用していきたいと考えています。
井田様 : RPAを使える職員を増やしていきたいと考えています。職員のパソコンに入っているのが当たり前になり、Excelぐらい身近な存在になればと思っています。
EzAvater や弊社に対するご要望はありますか?
長尾様 : 2つあります。人材を育成するのに一番大事なのは、職員のモチベーションだと思っています。 そこで1つ目の要望として、テリロジーサービスウェアさんには、EzAvaterのユーザーを対象に、EzAvaterを使ったRPA大賞をやってほしいと思っています。交流のきっかけにもなりますし、頑張った人が「やって良かったな。もっと頑張ろう!」と思えるものがあればと思っています。
2つ目は研修についての要望です。現在は初心者向けの研修を行っています。これは、活用している職員を増やす取り組みの1つです。活用が進んでいった段階で、さらに上級者向けの研修を一緒に企画するなど、習熟度を上げる仕組みを考えてほしいです。
今までのような活用する人を増やすような研修から、さらに業務効率化を進めるための研修が求められているということでしょうか?
長尾様 : そうです。効率的にRPAのシナリオを作るためにはプログラミング的な思考が必要だと思うので、習得できればさらに高度なシナリオの作成ができるようになります。そして、使えるようになった職員のさらなるモチベーションアップにもつながると考えています。